『玆山魚譜』では鰒魚、『本草綱目』では石決明と呼ばれており、また別名として九孔螺とも呼ばれている。
殻の長さが10cm以上で大きく楕円形だ。
螺層(螺旋模様に巻かれている一つの層)は少なく、後ろ側に偏り、
ほとんどは体層(殻口から一回りした、一番大きな層)となっており、その上に穴が並んで上を向いている。
この穴は後ろ側の数個以外は詰まっている。
開いている穴は出水孔であり、排泄物もこの穴から排出される。 殻の表面には普通、様々な動植物がくっついているが、これを取り除くと波模様の低いシワや
螺肋(各層の螺管が成長方向と並んでできる横のシワ)が現れ、螺肋のでき方は個体差がある。
ほぼ平らなものもあり、黒褐色の角皮に覆われたものもある。殻の下の面は大きく開いており、強い真珠光沢がある。
軟体(身)は殻に包まれており、貝殼筋により殻にくっつき、その周りに上足突起が発達している。
は大きくて広く、頭には1双の触覚(触手)と目がある。えらは1双で、心臓の心耳も1双であり、左右対称である。
干潮線で水深5～50mになる外洋の島や暗礁に生息し、海水が綺麗で海藻類が多く繁殖する場所を好む。
雌雄異体で、外部の生殖器は発達していない。卵生で晩秋から初冬まで産卵し、受精する。
生殖腺が黄白色なのがオスで、緑色なのがメスである。
種類によって差があるが、殻は1年に2～3m程度育つ。エサは昆布、アラメ、ワカメ、カジメ、アオノリなどの海藻類だ。
昔から食用としてきた主な水産物の一つで、年間に浅海で漁獲される量は450M/Tにのぼり、養殖収穫する量も80M/Tにのぼる。
1960年代に国立水産科学院の水産種苗培養場で種苗生産を開始し、1974年からは生産した種苗を養殖漁民に分譲している。
養殖漁民は海での養殖を行っており、新たな養殖にも挑戦している。
韓国では寒流性のエゾアワビ(Haliotis discus hannai)と暖流性のクロアワビ(Haliotis discus)、メガイアワビ(H.gigantea)、メカイアワビ(H.Sieboldii)、フクトコブシ(H.diversicolor diversicolor)、トコブシ(H.diversicolor supertexta)などの6種類が知られている。